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[77]DGDの将来像について 2015/06/14(Sun) 17:55:07
投稿者 : 中川 真一
以前の書き込みが表示されないようなので再掲します。
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DGDは仲村編集主幹のご尽力でインパクトファクターも上昇し、今年は投稿も順調とのこと、一学会員としてもとても誇りに嬉しく思っております。その一方、投稿数は決して多いとは言えないという現実にもきちんと目を向けなくてはいけないと思いますし、学術雑誌を取り巻く環境は日に日に大きな変化を遂げているのも事実です。DGDはこのままのスタイルで良いのか。何か抜本的な改革が必要なのか。今回、編集委員に加えて頂いたことをきっかけに何がベストかいろいろ思い巡らしていたのですが、一つの問題提起として、国内の学会誌を統合してPNASのように広い分野をカバーする学術雑誌を作り、欧米の雑誌、もしくはオーブンアクセス系の雑誌と対抗する一つの強い軸を作るという選択肢はないか、ということを考えております。その是非に関して、ぜひ編集委員、もしくは運営委員の方々、さらには学会員の方々の間で議論していただけませんでしょうか。

私自身、過去5年の間に、DGDに投稿した原著論文は一本もありません(声をかけていただいた総説1本のみ)。その一つの大きな理由として、研究分野の境界がどんどん曖昧になってきていることが挙げられます。「発生生物学」の論文であっても、次世代シークエンサーによる解析、タイムラプス観察や超解像顕微鏡観察、質量分析による解析、といった分子生物学、細胞生物学、生化学として分類されるような手法を取り入れることは珍しくなく、むしろ当然のことになってきています。個人的には非常に思い入れが強いけれどもなかなかレフリーやエディターに受け入れてもらえない論文をどこに投稿するのか。具体的には、いわゆる3大誌およびその姉妹誌からリジェクトされ、DevelopmentやGenes & Developmentにも通らなかった論文をどこに投稿するのか、ということですが、ここのところ、私の場合、その選択肢はGenes to Cellsになっています。そもそも発生生物学は生命科学全体を含むと個人的には思っていますが、実際に掲載されている論文はかなり偏りが多いのも事実で、読者層を考えると、より広い分野をカバーしている雑誌に投稿する選択肢を選んでしまっている、というのが現実です。PlosOneが多くの投稿の受け皿となっている大きな理由の一つは、通りやすさではなく(むしろ結構厳しい?)、分野の普遍性にあると思われます。JEEMがDevelopmentに変わったように、分野の境界がどんどんあいまいになってきている現在、DGDもそのカバーする分野を広げていることを大きく内外にアピールすべきであると考えます。

またその一方で、学問がどんどん細分化され、学会の数は増え続け、雑誌の数も玉石混合指数関数的に増加し、その弊害がいろいろなところで噴出しているのも事実です。特に、オープンアクセス系Predator Journalの大量出現による論文の「平均」の質の急速な低下は由々しき事態であると思われます。年会やそのほかの機会に仕事の内容や質についてたびたび目や耳にする機会が多い「ローカル」な学会を母体としたDGDのような雑誌の存在は、実は非常に貴重な存在であるはずです。そのような雑誌が、発生生物学会であればDGD、細胞生物学会であればCell Structure and Function、分子生物学会であればGenes to Cells、生化学会であればJournal of Biochemistryとあるわけですが、そのいずれもがPlosOneやScientific Reportsへと論文が「食われ」、インパクトファクターの上下に一喜一憂している状態であるのは、悔しいながら、受け入れなければならない事実であると思います。

 この状況を打破する一つの思い切った対策として、PNASを一つのモデルとして、(分野はPNASほど広くないにせよ)生命科学全体をカバーする雑誌を創刊し、そのサブカテゴリーとしてDGDやGTCなどのセクションを設ける、ということも考えられるのではないでしょうか。そこに掲載されれば、コミュニティーの中である程度認められる、という雑誌をアジア地域に一つ作っておくことは、非常に重要であると思われます。そのような仕事は欧米に任せ、そこを世界標準としてその舞台で戦う、という考え方もあるとは思います。いずれにせよ、DGDの将来像の一つとして、単独で戦うのではなく、生命科学系の国内の諸学会と連携して強い軸を生み出すという選択肢について、一度真剣に話し合ってみるというのはいかがでしょうか。目指すは、そこに掲載せれることで一定の安心感が得られる雑誌、コミュニティーの中で一定の評価が得られる雑誌、そしてその中で実績を積み上げることによって世界中の誰もがこの雑誌からは目が離せないな、と思われる雑誌を、我々「研究者の手」で作り上げることです。研究者の手からサイエンスがどんどん離れてしまっているのではないか、という危機感が、この提案の一番の根底にあることは言うまでもありません。

理化学研究所 中川真一


スレッド

タイトル 投稿者 投稿日 記事番号
★ DGDの将来像について 中川 真一 2015/06/14(Sun) 17:55:07 77
  └ Twitterコメント(1) 中川 真一 2015/06/14(Sun) 18:01:39 78
  └ Twitterコメント(2)学会が運営するOA誌 中川 真一 2015/06/14(Sun) 18:02:48 79
  └ Twitterコメント(3)技術的な問題、精神的な問題 中川 真一 2015/06/14(Sun) 18:03:42 80
  └ 削除済み 削除済み 2015/06/14(Sun) 18:04:47 81
  └ Twitterコメント(3)関連学会が共同でOA誌? 中川 真一 2015/06/14(Sun) 18:06:12 82
  └ Twitterコメント(4)乱立する学会が問題? 中川 真一 2015/06/14(Sun) 18:07:22 83