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層特異的遺伝子マーカーによるReeler大脳皮質の形成異常の解析


○出來本 秀行,村岡 大輔,寺島 俊雄,勝山 裕

(神戸大学大学院医学系研究科脳科学講座神経発生学分野)


Reelerマウスは振戦などの小脳性運動障害を示す自然発症性変異マウスで、組織学的には小脳の著しい萎縮や大脳皮質、海馬等の層構造異常を特徴とする。Reeler変異の原因遺伝子であるreelinは巨大な分泌性タンパクであるReelinをコードしている。しかしその発生学的な機能については未だ十分に明らかにはされていない。げっ歯類の大脳新皮質は6層構造からなるが、Reelerマウスでは大まかに言えばこの層構造が逆転していると考えられている(outside-in構造)。我々は、これまで神経回路標識法によりReelerマウスの脳における形態異常について調べてきたが、今回、層特異的に発現する一連の遺伝マーカーを用いてReelerマウスの大脳新皮質の形成異常を調べた。大脳皮質各層に特異的に発現している遺伝子mSorLA (II/III層)、ROR-beta(IV層)、Er81(V層)、Tbr1(VI層)のRNAプローブを用いin situ hybridization を行い、生後10日(P10)の時期に正常マウスとReelerマウスの大脳皮質における遺伝子発現分布の違いを調べた。その結果、ReelerマウスではmSorLA、Er81、Tbr1の発現は大脳皮質の垂直軸方向に関して一様に分布していた。またROR-betaを発現する細胞も皮質の垂直方向全体に散在性に分布していた。一方、これらの遺伝子マーカーの接線方向の分布はReelerマウスにおいても保存されていた。以上の結果は少なくともこれらの層特異的遺伝子マーカーの発現を指標とすると、Reelerマウス大脳皮質において従来言われていたような層構造の逆転ではなく、層形成そのものが高度に乱れている可能性を示唆している。現在、脳の他の領域における形態異常についても上記の遺伝子マーカーを用いて解析中である。


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