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雌雄同体魚 Rivulus marmoratus の生殖巣発達過程の解析


小柴 壮志  堀 寛  金森 章

名大・院理・生命理


ほとんどすべての脊椎動物で、未分化生殖巣は卵巣もしくは精巣の、どちらかのみに分化する。つまり同一生殖巣中で卵形成と精子形成が同時に進行することはない。数すくない例外の一つが北中南米の東海岸に広く分布するメダカに近縁のRivulus marmoratus で、脊椎動物で唯一自家受精することが知られている同時成熟雌雄同体魚である。本研究ではこの種の生殖巣の発達過程を解析した。受精後10日、14日の胚、ふ化後1か月、2か月、3か月の稚魚、それぞれの個体の連続切片をつくり観察し、精巣や卵巣がいつどこから形成されるのかを調べた。 受精後10日では、左右一対の生殖巣中の生殖細胞は減数分裂に入っていなかった。受精後14日(ふ化の前後)では減数分裂(卵形成)に入った生殖細胞が観察された。またふ化後1か月では、卵母細胞の成長が見られたが、精巣は形成されていなかった。ふ化後2か月で初めて精巣部分が見られた。精巣は左右とも、体腔上皮と生殖巣がつながる部分の近傍のみに存在した。この時点では、セルトリ細胞に囲まれた精母細胞の一群(シスト)の数は1〜3個であり、生殖巣の最前部に局在した。ふ化後3か月になると、左右の生殖巣合計で、シストの数は約300個に増え、生殖巣の前後軸に沿って、やはり体腔上皮と生殖巣がつながる部分の近傍にのみ広がっていた。この形態は成体生殖巣とほぼ同一であった。なおふ化後4か月で受精卵を産むようになった。 また形態のみでなく、分子マーカーでこの生殖巣形成過程を記述するため、卵巣マーカーとしてfigαfoxl2 を、 精巣マーカーとしてsox9dmrt1 をクローニングし、in situ hybridizationを行った。


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